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本日は「銀行提出用の決算書」について、説明したいと思います。

最近、複数の不動産業者様から「銀行提出用の決算書を作成してほしい」との連絡がありました。

不動産取引のうち、特にアパートを購入する場合、銀行が融資の条件として
「物件価格の1~2割を自己資金で賄うこと」としているケースが多いのですが、
数億の物件を購入する場合、数千万円の自己資金を用意することは大変です。

そこでフルローンで物件の売買を行うために、契約時点では、実際の売買価格よりも高い金額の契約書を作成して、
銀行に提出し、融資を受けた後に値引きの覚書や新しい契約書を締結しなおして決済を行う取引が行われているようです。

この取引を行った場合、会計・税法上はもちろん最終の契約金額に基づいて決算書や申告書を作成する必要があります。
融資を受けた後は銀行に毎年決算書と申告書を提出しなければならないため、値引き後の金額で決算書や申告書が作成されていると
自己資金を使っていないことがばれてしまいます。

そこで税務署に提出した申告書とは別に、銀行提出用の申告書と決算書を作成して、銀行に提出するということを
行う必要があるということでした。

ただこの行為は犯罪です。

銀行提出用の決算書というとわかりづらいですが、この行為は「二重帳簿に基づく粉飾決算」を行っていることに他なりません。
ちなみに粉飾決算を行うと虚偽の書類を受け取った銀行が訴えた場合、刑事罰の対象となります。

不動産業者様からは「多くの人がやっている」「二重帳簿を作成してくれる税理士先生は他にもいる」と言われましたが、
投資家様のみならずその税理士も粉飾決算を幇助しており、犯罪を犯しているといえます。

フルローンは魅力的ですが、犯罪者になるリスクを考えると粉飾決算はもってのほかです。
不動産取引を行う際には、必ず注意したい点だと思われます。

松石